2012年11月10日

婚約破棄

単に男女交際中に「結婚しよう」,「将来一緒になれたら良いね」という程度のやりとりがあっただけでは婚約成立は認められません。
また,慰謝料請求を実際に行う為には,言った言わないだけでなく,客観的な証拠が必要となります。
裁判例で婚約成立を認める理由となった事実には以下のような物があります。
どれか一つがあれば良いという物ではなく,総合判断されるので,全ての事情への考慮が必要です。



結婚の意思が双方にあり,それが双方の親族や家族にも明示されたか。
具体的には,家族に「結婚相手」として紹介された事実があるかです。
これは顔合わせの会や結納だけでなくとも,冠婚葬祭に家族同然で出席した場合も含まれます。ただ,単に彼女として出入りしていただけでは,頻繁に出入りしていたとしても婚約は認められません。 また,結婚の意思があったことを裏付ける事実としては,いわゆる嫁入り道具といった家財を用意していたことや,新居を購入した,又は購入しようとしていたという事情があります。

継続的な性交渉があったか
性交渉を直接証明する証拠がない場合でも,男女交際していることが証明出来れば,なかったと考えられる特別な事情が無い限り認められるでしょう。

未成年の場合は,親の同意を得ていたか
未成年の婚姻には父母の同意が必要であるため(民法737条),婚約成立にも未成年の場合や親の同意が要件とされるべきでしょう。
以上の基準から婚約成立が認められる場合,「正当な理由」無く婚約破棄すれば慰謝料が発生します。

裁判例
(1)東京地方裁判所裁平成19年1月19日判決
「前記認定事実によれば、婚約指輪を購入していないこと、結納の取り交わしがなされていないことが認められるが、かかる事実から直ちに法律上婚約が成立していないことにはならない。
この点、被告が、平成15年のゴールデンウイークころに原告に結婚を申し込み、これがきっかけに、平成15年10月、原告と被告は、教会を訪れたり、ホテルを訪れ、結婚式の候補日の状況を調べてもらったり、予算の見積を出してもらったりしたこと、同月19日に原告と被告は、結婚指輪を購入し、被告が支払をしたこと、その後、被告は、原告にウェディングドレスがリフォームできるという記事が掲載された冊子を見せ、同月18日、原告はウェディングドレスを購入したこと、同年11月3日に、被告は、結婚の挨拶のために原告の自宅を訪れていること、平成16年2月28日、原告は、結婚の挨拶のために、岡山へ赴き被告の両親と面会したこと、その後、広島のマンションを被告が原告の為に購入していること、平成16年8月22日からは、原告と被告は同居を開始していること、平成16年12月4日、被告は原告とともに、原告の婚約者として、東京にて行われた原告の妹の結婚式に出席したことが認められる。
そして、かかる原告及び被告の結婚生活への準備が進展している過程において、被告は結婚の意思がないなどの積極的意思表示をしていないことからすると、結婚へ進展することを黙認していたといいうるのであり、遅くとも平成16年2月ころには、婚約が成立していたものというべきである。
そして、原告は、被告に女性がおり、妊娠していると知り、体調を崩し、結局、母親に付き添われて帰京したのであるから、被告に婚約破綻の責任があるものというべきである。」「被告から結婚を申し込まれ、被告との結婚生活を夢見て準備を重ねてきた原告が、被告に、他に女性がおりその女性が妊娠していたと知り、これがために被告の他に頼る人物のいない広島で体調を崩し、また、被告と被告の父がその女性と面会するために外出し、1人取り残された原告の悲痛、最終的には母親に付き添われて東京に戻った原告の心痛を考えると、その精神的苦痛に対する慰謝としては250万円が相当である。」

(2)東京地方裁判所平成16年8月31日判決
「本件婚約については、平成15年2月25日頃から同年3月5日頃までの時点で、少なくとも一旦は合意解約されたもので、仮にその解約が真意に基づくものでなかったとしても、原告と被告との間では婚姻関係を形成していくために必要な信頼関係が失われ、本件婚約関係は破綻していたものというべきで、かつ、その破綻について原告か被告かのどちらか一方にのみ帰責性があったとはいえないということができる。
したがって、被告が平成15年3月5日になした婚約解消には、正当な理由があり、よって、原告の婚約不履行に基づく損害賠償請求は慰謝料請求を含めて認められないというべきである。 
他方、婚約が解消された以上、結納金100万円については不当利得として返還すべき」である。

(3)福岡地方裁判所小倉支部昭和48年2月26日判決
結婚式当日に新婦方の親族に挨拶をする等新郎として弁える(わきまえる)べき最小限度の礼儀を尽くさず、新郎が新婚初夜に、新郎に対し戦慄を覚える新婦と強引に肉体関係を遂げ勝手に就寝した事案において、「婚約破棄の正当事由の有無を検討するに、婚約はその性質上内縁関係と比較してより広い範囲で破棄の正当事由を許す余地があるものと解すベきところ、被告の婚約破棄は同被告の認識不足や原被告双方の親族の不信感がその遠因として存在することは間違いないのであるが、前示のとおり、結婚式当日ないし新婚初夜において、新郎として弁えるべき社会常識を相当程度に逸脱した原告の異様な言動を直接最大の原因とするものであり、その結果新郎に対する新婦のそれまでの印象を一変し、且つ今後結婚生活を共にする決意を全く失わせるに至ったものであるから、このような場合被告には婚約を破棄すべき正当な事由があり、違法性は存しないと認めるのが相当である。」

(4)東京地方裁判所昭和43年3月30日判決
「原、被告が昭和37年9月から本件婚約成立まで約2年6カ月余にもわたり肉体関係を伴った交際を重ねてきたことは、当事者間に争いがなく、この事情に前記の本件婚約が結納を取り交した上成立したことおよび被告が右婚約成立後、わずか2力月余でこれを破棄したとの婚約成立の態様および破棄の事情を考え合わせれば、原、被告の右性格の不一致がいかなる点にあるかを判断、考究するまでもなく、単に性格の不一致との理由のみで、被告の右破棄の責任を阻却しうるとは到底考えられず、被告の右主張は理由がない。」

posted by naiyou at 08:13| 大阪 ☀| Comment(0) | 婚約破棄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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